星の時代。
ただ星だけが人々の標となっていた時代。
この時代の記憶はもはや残っていないだろう。
すべてがまだ形を成す前の姿、世界そのものが曖昧なままの状態だったから。
離散の時代。
秩序は一度失われ、誰もが凍え、放浪する時代となった。
しかし安定を求める心はまた互いを求め、礎を築こうと動き出す。
争いの中で共有された、星の力を操る術が、また新たな秩序をもたらそうとしていた。
炎の時代。
炎の同盟が存在した時代。
かつての盲目の時代、民が自分たちの行く末を照らす為に灯したという聖なる炎。
その残り火が再び高々と燃やされ、そこに新たな民が集った。
黄金の時代。
道しるべ無き時代。
だが人々の繁栄が停滞することはなく、文明はかつて船が辿り着いた岸辺にてさらなる栄華を誇る。
安住の地を得た者たちは、翻って激動の時代を過ごした故郷を懐かしみ、思い返す。
人とはそういうものだ。
 
暮れゆく白日
雲間の太陽は明るく
星ぼしの光に浮かび上がる城壁

いつか夜のともし火からすべてが生まれ
人びとは眠りにつく

沈んだ太陽が忘れられていくように

断崖にたたずむ旅人は歌った 落日が予言する滅びの日を
異国の娘は手をかざし風を受ける 蒼白の空を飛ぶ鳥を見る
息子は手紙だけを残して去った
遠い町の家族は今日も変わらず水を汲む

藍に光ひと筋の空に帆を広げ

暮れゆく白日
雲間の太陽はかすみ
星ぼしの光が波間を導く

やがて船は岸辺に着き 人びとはまた里を築く
足あとは消えて 恒星が天上を横断する