Night Breeze



私は一人。
真夜中の暗い道。
私はただ、歩いていた。
何も持たずに、何も考えずに。
家の灯りはもう見えない。
夜の風を受けて、透きとおった視界。
でも、何も見えない。
私は足を止める。
ふと見ると、ノラ猫が側にいた。
私を見ても、大して気にする様子は無い。
自分の世界だけを見て歩き続けている。
私は、空を見上げた。そして、振り返った。
いなくなってしまった、たくさんの友人達…
私も、彼らのように生きたかった。
何も気にせず、まっすぐに…。
でも、無理だった。
私には、帰るところがある。
彼らには、無かった。
そこは温かくて、かけがえの無い場所。
彼らには、もうそれが無かったから。
かわいそう…。
ううん、違う。
かわいそうなのは、私。
帰る場所があるから。
そこにかけがえの無いものがあるから、
それが私を自由にしてくれない。
帰らなきゃ。
私は、空を見上げた。そして、振り返った。
帰ったら、また元に戻るだけ…。
目の前には、何も見えない暗闇。
後ろには、温かい光。
私は、空を見上げた。
雲の向こうで、星が光る。
本当は、世界は、美しい。
本当に…。
私の、こころは








私は、ためらいながら、走り出した。

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