宿
 
 
この国にもやがて雪の降る日が来ます。
そうしたら、こうして偶然に出会え、また別れる時の来る一時の仲間同士で、
…そうですね。みんなそれぞれ自由気ままに。
 
語らうのもいいでしょう。騒ぐのもいいでしょう。
 
何処か知らぬ国からやってきた者の話を聞き、私もそこへ行ってみたいと想う。
もしかしたら途中で引き返してくるのかもしれないし、
私にとっては何の価値も無い場所かもしれない。
 
こうして話を聞いて夢想する時間が一番楽しいという事も、人にはよくあることでしょう。
それでも私は行かなくては生りません。
自分の目で確かに見ることの温かさも寒さも知ってしまった。
 
もう一度、そしてもう一度、
その感覚を得るためだけに私は旅を続けます。
 
どうか、お気をつけて。