地平線
ほんの時折、同じような者たちとすれ違う。
皆それぞれの荷物を背負って往き続けている。
腕を失いながら何かを求め続ける旅人。
脚を失ってなお歩き続ける旅人。
ある者は雨を恐れ、ある者は照りつける太陽を恐れ、
砂漠の国に住む者は必要以上に渇きを恐れる私を哂う。
私だって同じだ。
あまりに過酷な旅の末に声を失ったあの者を内心では蔑んでいる。
北へ旅立った彼はまだその輝きを失っていないだろうか…
そう想い続けても仕方も無い。
そうだ、この場所はもういい。
こんな日々も思い出に変えてしまって次の場所へ行こう。
故郷まではまだ遠い。
まだ回り道をし続けなければ往かぬ。