廃墟
 
 
唯一人廃墟に立つ
 
かつて流れていたであろう時間はもうそこには無く
 
私だけが感じる空気 流れる時間
 
風が通り過ぎる
 
私と共に何処かから吹いてきた風
 
今ここは私だけの時間
 
かつて暮らしていたであろう人の姿はもうそこには無く
 
やがて大地へと消えていくこの場所
 
見下ろすのは太陽の光だけ
こうして誰とも分け合わない時間があってもいい
 
弱々しく生い茂る緑
木漏れ日が廃墟を照らし、囁くような私の声が響く
 
誰にも届かない声が
 
ひとつ ふたつ