夜は深い。
真昼の熱もやがて奪われ
水面に名残は浮かぶ。
雨は冷たい。
何度も繰り返して地面を打ち
癒えたはずの傷口を抉る。
雪は語らない。
温もりも光もすべて閉ざして
過去を思う眠りにつく。
二度と会えないかもしれないのに
言葉は 残された。
道先は
夜は深い。
夜は暗い。
今となっては太陽は、そのすべてを焼き去ってしまう。
片ほうの手のひらだけの温もりがあればいい。
月だけが道を照らしてくれればいい。
『回帰』